初めての入院


初日 <11月10日(月)小雨>
朝起きても腸の痛みは取れない。歩くときも響くので、年寄りのように背中を丸めて歩かないと辛い。これはやはり医者に行かねばなるまい。

本郷の胃腸専門医院に行くか、近所の総合病院にするか迷ったが、万が一入院となった場合のことを考えて、近所の総合病院に行くことにした。

9時から受付のところに8時に行った。9時過ぎにすぐに呼ばれ、採血とレントゲンを撮る。10時過ぎに消化器科にもどり診察を待つ。R先生によると腸に炎症があるため、絶食し、抗生物質を飲んで、水曜日に再検査ということになった。念のため、CTスキャンの検査をこの後にやってから帰りなさい、会社は休み、風呂にも入らないこととの指示であった。痛み止めにブスコバンを飲んだと言ったら、あれは腸の動きを止めるのでよくなかったですね、と言われた。

帰りにCTスキャンを撮った。CTスキャンは子供の頃に脳のCTスキャンをとってからだから本当に久しぶりだ。検査として普通のレントゲンと同じくらいメジャーになっているみたいだ。検査時間は5分も掛からないので、それ程いやではない。

帰宅後自宅でメールチェックをしていると2時過ぎにR先生から電話がかかってきた。CTスキャンの結果、腸の周りにも炎症が及んでいるようで、腹膜炎の疑いがあるので、これから入院してほしいとのこと。期間は1週間ぐらいの可能性もあるが、1ヶ月ぐらいの可能性もあるとのこと。

メールで会社に連絡し、家内に入院の準備を頼む。

4時半頃病院に到着。入院手続き。預かりとして5万円払う。6階の6xx号室の窓側に入る。早速点滴。点滴は栄養剤ラクテックG注500mLを1日4本と抗生物質セフメタゾン1g入りを2本。絶食期間中はずっと点滴を着けっ放しとなる。

夜、両親に連絡。R先生は消化器が専門ではないため、消化器を専門としているA先生から挨拶がある。30代後半か40代前半といった感じの人。消灯は9時。なかなか寝れない。10時半頃に寝付くが、同室の人が夜中に治療したりして、睡眠は細切れ。

2日目<11月11日(火)雨>
6時頃が起床時間のようだ。4時に点滴の交換をしてからうつらうつらという感じ。6時頃声を掛けられ、採血される。朝家内が朝刊を届けてくれる。

午前中は持ってきた本「東京アンダーワールド 」を読む。

昼頃から血液検査、腹部レントゲン、造影剤を注射してのCTスキャン。

夕方、子供たちが来る。

A先生から病気についての説明あり。腸に炎症があり、その炎症が腸の周りにも及んでいるとのこと。入院は予定では今月末。しかしより長くなる可能性があるとのこと。造影剤を注射してのCTスキャンの結果が出るとより詳しい説明ができるとのこと。短ければ1週間で出られると思っていたためショック。明日、結果を踏まえて、より詳しく説明してくれるとのこと。

腹部の痛みはまだとれない。

夜はやはり10時半か11時頃にならないと寝れない。家内にラジオを頼もう。

3日目<11月12日(水)曇り>
入院も3日目となるとそろそろ飽きてくる。午前中に「東京アンダーワールド」を読み終わる。戦後の混乱期に乗じてひと財産を築いたアメリカ人の物語。ノンフィクションだが、事実は小説より奇なりを地で行くような人生だ。あっという間に読み終わった。☆☆☆☆。3時ごろ両親がお見舞いにきてくれる。

夜A先生からCTスキャンの写真を使って、病気についての説明あり。先生はクローン病を疑っているとのこと。原因をはっきりさせるために、胃カメラ、腸の内視鏡、小腸の造影写真の3つの検査が必要で、小腸の造影写真は先生の母校であるK大学病院で取ってきて欲しいとのこと。家内が私の代わりに明日、K大学病院に行って申し込んでくることになる。家内が近所のYさんに聞いたところによるとこの病院はK大出身者がとても多いそうだ。

クローン病がどんな病気なのか今ひとつ分からない。家内はショックを受けていた様子。

入院前はテレビをまったく見なかったが、さすがにテレビを見始めた。今日は昭和57年、21年前のベストテンと現在のベストテンとを比較する歌番組を見た。昔のベストテンも懐かしかったし、今のベストテンもなかなか面白かった。

4日目<11月13日(木)晴れ>
朝、採血。
持ち込んだノートパソコンで趣味のHPを更新するためにノートを書き始める。会社のTさんに公衆電話経由でのネットへの接続方法を聞き、接続に成功。ネットに接続していたらあっという間に1500円ぐらい通信料がかかってしまった。これは気をつけないと。

腹部の痛みはだいぶ取れてきた。もう歩くときに痛みを気にする必要がなくなった。こうなると益々、手持ち無沙汰になる。

家内がK大病院の検査を再来週の木曜日27日で予約してきた。一緒に慶応大学医学部の日比教授が監修した「クローン病の正しい知識と理解<第2版>」と「クローン病の正しい知識と理解<Q&A>」という2冊の小冊子をもらってきた。説明が明確、コンパクトで非常に良くまとまっており、何度も何度も読み返した。

今日のテレビはテレビチャンピオンの魚のチャンピオン。結構ショップで売っている海水魚を問題に出してきて、手を抜いている感じ。私も知っているような魚が沢山出てきた。

夜またA先生が来る。K大の検査が27日になったことの確認と今朝の採血の結果、炎症がだいぶ治まったことを確認できたとのこと。また決してクローン病だと決め付けているわけではないこと。自分でもクローン病の小冊子を読んであんなすごい潰瘍があったらもっと激痛がするはずで、とてもそんな病気には思えないことを伝えた。炎症が確認された回腸はよく炎症が起こる部分であり、必ずしも回腸に炎症があるからといってクローン病であるとは言えないことなどを確認した。

5日目<11月14日(金)晴れ>
入院後初めて排便がある。下痢。

家内からパソコンの調子がおかしいと言われる。家内は自分で責任を取れないので入院中の私に、先生から外出許可を取って一度見に来いとうるさいので、先生に聞くことにする。

夕方、家族が来院。先生の許可も取れたので明日午前中、帰宅することになる。

また来週火曜日に大腸の内視鏡、水曜日に胃カメラを呑む事になる。

女子バレー、キューバ戦を見る。丁度セットカウント2対2のところで消灯。

6日目<11月15日(土)曇り>
8時に家内が迎えにくる。

点滴のチューブを腕に巻きつけ、着替えをして帰宅。早速シャワーを浴び、パソコンをチェック。

午後は週刊誌と「続オマエラ、軍隊シッテルカ!」を読み始める。軍隊であった事実を書き連ねているだけなのだが、平和の中での軍隊の不思議さ、滑稽さが出来事の積み重ねから読み取れて、面白い。自分が韓国にいた時期と重なっているため、その時の雰囲気を思い出して懐かしくもある。☆☆☆☆

腹痛は完全に収まって、料理番組を見たり、「続オマエラ」でブデチゲが出てきたら、無性にブデチゲが食いたくなったりするくらいになった。ただ、まだ腹が減ったという感じはない。

夕食の時に配られる番茶を飲んだ。入院以来初めて水分を口にしたことになる。おいしかったので2杯飲んでしまった。

夜は女子バレーボールと12チャンネルの温泉番組を見る。消灯後はラジオを聞きながら寝る。落語の途中で寝てしまった。

7日目<11月16日(日)晴れ>
昨夜は2時間おきぐらいに尿意があったり、ライトをつけてしまったりで起こされたが、6時には目がさめた。入院生活に体が慣れてきたのだろう。

朝食時も番茶を2杯飲んだ。美味しかった。お腹は痛いというわけではないのだが、若干違和感を感じる。なかなか直らないのかもしれないと不安になる。お腹に何も入れなくてもお腹がグルグルと音を立てる。

午前中で「続オマエラ」を読み終わる。

午後に家族来院。一緒に東京女子マラソンを見る。高橋尚子は2位でオリンピック出場権は持ち越しだろう。

夕方はHPを書き、夜は田舎暮らしのテレビを見る。

8日目<11月17日(月)晴れ>
朝一番で採血をする。

お腹はグルグルとなりつづけているが、他には全く痛みや支障のあるところはなく、快調。

夜A先生が来て、採血の結果、もう炎症反応がゼロになったので、今日で抗生剤は止めるということを聞く。順調である。明日、明後日で大腸内視鏡検査と胃カメラの検査をする。大腸内視鏡は初めてなので不安である。また今晩から点滴をアミノブリード500mlに変える。今までの点滴は糖と電解質だけだったが、新しいアミノブリードはそれにアミノ酸液を加えたものであるようだ。総熱量は210kcal、1日4本で840kcalとなる。

夜のテレビは男子バレーボール、日本対中国戦と適当なバラエティを見た。明日の検査が不安だからか、毎時間目がさめ、睡眠が浅かった。

9日目<11月18日(火)晴れ>
朝一番で大腸内視鏡検査のための浣腸をする。トイレで看護婦さんが500mlの試験管に浣腸剤を何度(6回ぐらい)も入れてくれ、そのたびごとに排泄する。検査のためと思うと看護婦さんの前で排泄するのも不思議に恥ずかしくなかった。本当は飲み薬でするところなのだが、小腸への悪影響を考え、肛門から注入するやり方となった。

お昼過ぎには呼ばれると思っていたのが、呼ばれたのは3時近くだった。検査服に着替え、肛門から管を入れるのに便利なパンツを履き、看護婦さんを待つ。この検査は麻酔も使うので帰りは車椅子を使ったほうがいいと、看護婦さんは私を車椅子に乗せて1階の放射線科へ行った。待つこと10分。呼ばれてレントゲン室に入るとA先生がいた。レントゲンの台に横向きになって寝ると、点滴の管からたぶん麻酔薬や腸の動きを止める薬を入れられた。即効性があるようで直ぐに眠くなり、肛門に内視鏡が入れられ始めた。

シュッシュッという音(これは空気を腸内に送り込んでいる音らしい)と共に、内視鏡が腸の中に入っていくのを感じる。入り口を通った所で天井を向かせられ、右足を左足に乗せて組むように言われる。そこから又どんどん内視鏡が中に入っていく。時々激しい痛みを感じて、痛みを訴える。しかし痛みは暫くすると取れる。早く終わってくれと念じるが、なかなか終わらない。また痛みが激しくなったので、痛いと叫ぶと、看護婦さんが今は患部を見ながら抜いているところだから、もう少しの我慢だと励ましてくれる。そしてやっと終わった。お腹に鈍痛を感じなかなか起き上がることが出来ない。それでもやっと起き上がり、台から降りる。

看護婦さんにトイレでおならをしたほうがいいといわれ、近くのトイレに入るが、中々おならが出てこない。早く横になりたくなり、おならが出ないまま、トイレを立つ。履いていたパンツは汚れていたので、また履く気にはなれず、トイレに捨てたため、車椅子ではなく、歩いて帰ることにする。

歩くのが辛く、入院したときのような痛みが一気に戻ってきたようだった。やっと病室につくと家内が着ていた。言葉を掛ける元気もなく急いで横になるが、お腹に強い痛みが襲ってきた。痛みはどんどん増していく。様子を見にきた看護婦さんが驚いて、先生に来てもらいます、というと病室を出て行った。看護婦さんは戻ってくると、おならを出さないと痛いようです。右から左にお腹を摩るとおならが出ますので、トイレに行って出してください、というので痛みをこらえトイレに行く。

言われたようにお腹を右から左に摩っていく、つまり大腸を肛門方向に摩っていくとだんだんおならが出てきた。10回ぐらいおならをすると楽になった。よかった。トイレを出るともう完全に大丈夫だった。こんなことなら終わった後すぐに教えてくれればいいのにと思った。

家内が子供をプールに迎えに行って帰ってくると丁度A先生と会った。先生曰く、内視鏡は小腸の方まで入り、心配していた部分もちゃんと見ることが出来たが、腸の中は小腸の端も含めとてもきれいであったとのこと。クローン病の懸念もよい方に今日の結果はよい方に外れたとのことであった。明日の胃カメラの結果次第だが、食事を少しづつ始める事も考えられるかもしれないとのことであった。

夜はバラエティと男子バレーを見て就寝。

10日目<11月19日(水)曇り>
朝6時に看護婦さんが回ってきて起こされる。昨日も眠りが浅く、朝も眠気が残っている。

今日は胃カメラの検査である。これで3度目になるが何度やっても憂鬱な検査である。昨日同様午後に呼ばれると思ったらどうやら今日は午前中らしい。

午前中は会社のメール処理をする。

11時にナースコールがあり、胃カメラ検査に呼ばれたとのこと。今日は検査服に着替えることもなく、そのまま看護婦さんと一緒に行く。昨日同様看護婦さんは車椅子を用意してくれた。

内視鏡の受付を入ると昨日と同じ看護婦さんが待っていた。小さ目のコップで造影剤のようなものを飲み、麻酔を喉から入れる。麻酔は上を見て飲み込まずに喉に滞留させ、暫く立ってから飲み込む。待ち時間は長く感じられたが、20分から30分ぐらいだったろうか。

昨日とは異なるレントゲン台に横になる。A先生が電話に呼ばれ、5分ぐらい台の上で待っていた。それから口の中にまた麻酔を入れ、点滴のチューブからも麻酔を入れた。後は内視鏡を入れていくのだが、今回は恐れていたほどの痛みはなかった。結構あっという間に、多分15分くらいで終わったと思う。

検査後、A先生から胃の中は若干炎症がある部分はあるものの、至ってきれいだったと言われた。まあ痛みもないわけだから、何かがあったら驚きなわけだからあたりまえなのだが、安心した。

検査後は麻酔の影響かボーっとしていたので、暫く休み、その後車椅子で病室に戻った。血圧を測ると上は110だった。最近100飛び台とか90台のこともあったので血圧が上がっているのはある程度元気が出てきた証拠か。

夜、A先生が来て、今日の検査の結果も全く問題なかったことを伝えにきた。明日の血液検査の結果が良ければ、明後日金曜日ぐらいから食事を始めようと言うことになった。また来週の木曜日に予定していたK病院での小腸の検査を今週の土曜日に繰り上げられることになった。この調子なら思ったよりも早く退院できるかもしれない。明日の午前中の外出許可を貰った。先生がくれた外出許可証はブランクだったので8時から14時とした。

夜はサッカーの日本代表対カメルーンを見た。

つづき

Home

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送