抗生物質

抗生物質は、IBD における主要な治療法としてしばしば用いられる。ただし、これらの病気の原因として特定の病原菌は発見されていない。しかし、研究者は、腸内細菌を減らし、腸の免疫系を直接抑制することによって、抗生物質はIBD の症状をコントロールするのに役立つと信じている。

抗生物質は、一部の IBD 患者における長期的な治療に効果的である。特に、瘻孔(2つの腸管間や腸と他の構造(皮膚等)の間の異常な通り道)や肛門付近に反復性膿瘍(膿のくぼみ)を持つクローン病患者に効果的である。抗生物質によって活動期の病気の治療に成功した患者は、薬効が続くかぎり、維持療法として抗生物質の投与が続けられることがある。

クローン病患者には効果がある一方で、抗生物質は潰瘍性大腸炎患者には効果がないと考えられている。これは、緩解を維持するためにも、急性症状においても同様である。臨床治験よれば、重症の潰瘍性大腸炎に対して、抗生物質が有効性を持つとは認められなかった。例外は、穿孔に対する高いリスクに人々をさらす中毒性巨大結腸(toxic megacolon)である。この生命に危険を及ぼす合併症は膨張した腹部と極端に膨張した結腸によって特徴づけられる。


内服薬


いくつかの抗生物質が特定の人々に効果があると考えられているが、IBD に対して、もっとも一般的に処方されるものは次の2つである。

・メトロニダゾール(フラジール)
・ シプロフロキサシン(シプロ)

メトロニダゾール と シプロフロキサシンは、共に広域抗生物質である。これは、その定義により、広い範囲の細菌と戦う。メトロニダゾールは IBDにおいて最も広範囲に研究された抗生物質である。活動期のクローン病の主要治療法として、この薬は、特に、病気が大腸に作用するときには、偽薬より優れ、スルファサラジンと同等の成績を残した。

メトロニダゾール はまた回腸切除手術後の最初の3ヶ月において、クローン病の再発を減らすことが示された。これらの治療例の 50パーセント以上において、メトロニダゾールは会陰部のクローン病(骨盤部を含む疾患)を管理するのに効果的である可能性がある。メトロニダゾール はまた ディフィシル菌(炎症の原因となる一種の細菌) の過度の成長を抑えるのに使用される。


その他の メトロニダゾールの適用は、回腸嚢肛門吻合術後の「回腸嚢炎」を患う人々である。この手術において、結腸が切除されたあと、内部パウチが患者の回腸(小腸の最下部)から形成される。外部器具の必要を回避するためである。時に嚢は激しい炎症を起こす。「回腸嚢炎」はここから来た用語である。


シプロフロキサシンは活動期のクローン病と回腸嚢炎を治療するために広く用いられる。これはまた メトロニダゾール よりずっと安全である。

その他の摂取方法

メトロニダゾール と シプロフロキサシン は共に点滴の形で用意することができ、必要なときにそのような方法で使用してもよい。

副作用

メトロニダゾール:

共通する副作用は、吐き気・嘔吐・食欲不振・金気・下痢・めまい・頭痛および尿の変色(濃茶色または赤みがかった茶色)である。長期服用のその他の副作用は、手足のチクチクする感じであり、服用を中止した後も残ることがある。もしそのようなチクチク感を覚えたら、直ちに医者に知らせること。投薬は中止し、再投薬すべきではない。

シプロフロキサシン:

副作用は、頭痛・吐き気・嘔吐・食欲不振・胸の痛み・発心および落ち着きのなさである。これらの症状はすべてまれである。


薬の飲み合わせ

処方箋薬であれ処方箋なしで買える薬であれ、複数の種類の異なる薬を飲む場合、薬の飲み合わせに注意する必要がある。薬の飲み合わせによっては、薬効を低下させたり、薬の作用を強めたり、予期しない副作用を引き起こすことがある。薬を服用する前には、注意書きをよく読むこと。必ず現在服用中のすべての薬(処方箋不要の薬であれ、代替療法であれ)とあなたの抱える医学的状況について医師に伝えること。


その他考慮すべきこと内服薬

メトロニダゾールはアルコールの分解に影響し、吐き気や嘔吐に帰結することがある。したがって服用中および最後の服用から最低 2日間は、いかなる形のアルコールも控えること。


* シプロフロキサシン は制酸薬(Rolaids や Tumsなど)と相互作用がありうるので、数時間以内に両方を服用しないこと。またビタミンやカルシウム・鉄または亜鉛を含むミネラルサプリメントとも同様な相互作用がある。シプロフロキサシンの服用と非常に近接して、制酸薬・ビタミン・ミネラルを服用すると、抗生物質の効果が大幅に減ることがある。


* メトロニダゾール または シプロフロキサシンを服用する前に医師に妊娠の有無を知らせること。これらの薬は、妊娠中にもしばしば処方されるが、かならず医師とこれらの投薬について話し合うこと。

* これらの抗生物質の服用中は、日光を避けること。外出時は、昼間は日焼け止めを塗ること。そして日焼けサロンは避けること。

* 抗生物質は、経口避妊薬(ピル)の効果を低下させることがある。

抗生物質は、抗凝血剤ワルファリン(Coumadin(r))と危険に干渉し、血液を極度に希釈化し、出血のリスクを増大させる。抗生物質(の服用)をはじめた場合、ワルファリンの服用量の調整が必要である。もしワルファリンを服用しているなら、必ず抗生物質を処方した内科医に知らせること。



原文:Antibiotics (CCFA)
訳:elm200さん
(2006年10月19日)

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