アミノサルチル酸(Aminosalicylates)
アミノサルチル酸は5-ASAを含む粉末である。これらの薬は経口、或いは注腸により摂取され、身体に作用し、炎症をコントロールする。軽・中症のUCとクローン病に効果的で、再燃を予防し、緩解を維持する働きがある。
経口薬
スルファサラジン(製品名:アザルフィジン(Azulfidine))は初めてIBD治療に広く使われたアミノサルチル酸で、軽・中症のIBD患者の緩解導入と緩解維持に効果的である。薬効成分である5-ASA
は自身を腸まで運んでくれるのに粉末であるスルファピリジン と結合しているが、スルファピリジンは一部の患者に頭痛、不眠、発疹などの酷い副作用をもたらす。しかし、スルファサラジンは副作用が出ない患者にとっては、安価で効果的な薬である。
スルファピリジンなしに5-ASAを運んでくれる新たな経口薬が開発されている。それは次のようなものである。
スルファサラジンを受け付けない人の90%の人は他の5-ASA製剤を飲むことが出来る。
他のデリバリーシステム
従来の経口による服用に加え、腸に5-ASAを運ぶ幾つかの方法(デリバリーシステム)がある。クローン病患者あるいはUC患者は異なる部位に炎症があるため、腸の異なる部位で5-ASAが放出されるように設計されている。
- 局所的メサラミン製剤は的確に効果が発揮される。その理由は消化される危険がある胃を通過して腸の炎症のある部位で放出されるからである。そこで薬物が炎症を起こしている腸の上皮を覆い、炎症を減らす。
- 注腸製剤 ロワサ(Rowasa) はメサラミンが直接下行結腸に作用することを可能にする。. ロワサは下行結腸に病変のある軽・中症のUCに効果がある。下行結腸に病変のある患者の80%が1日一度のこの治療法を使っている。.
- 座薬 カナサ (Canasa) は直腸からS状結腸に直接メサラミンを運ぶ。炎症の部位が直腸とS状結腸に限定されている潰瘍性大腸炎であるところの潰瘍性直腸炎はメサラミン座薬が効果的である。通常1日1、2回使われる。 座薬単独での使用より、メサラミン注腸との併用が効果的である。
- (メサラミンの放出を)遅らせている経口のメサラミン製剤(ペンタサ)は小腸と大腸に、経口のメサラミン製剤(アサコール)は回腸と(或いは)大腸に、経口のメサラミン製剤(ディペンタム,
コラザール、,スルファサラジン)は大腸のみに、直接5-ASAを放出できる。
副作用
- スルファサラジン: 副作用は頭痛、不眠、食欲不振、下痢、発疹、発熱、白血球減少を含む。スルファサラジンは服用期間中(服用中断後普通に戻る)の男性の精子の生産量と活動を減少させる。稀に膵炎を併発する。
- メサラミン: 副作用は腹痛、差込、下痢、おなら、不眠、脱毛、頭痛、めまいを含む。複数の研究でこの薬の服用が腎臓障害と関連しているらしいことが明らかになっているので、腎臓病のある人は服用に注意すること。長期にメサラミンを服用している患者は腎臓機能の低下のサインがないか定期的に調べること。膵炎はメサラミンの副作用として稀である。
- オルサラジン(Olsalazine): 下痢が最もよくある副作用である。食事と服用することにより、この副作用は減らすことができる。より少ない副作用としては頭痛、発疹、疲労がある。稀な副作用としては脱毛、膵炎、あるいは心臓の周りの細胞が炎症を起こす心膜炎がある。
- バルサラザイド(Balsalazide): よくある副作用としては頭痛と腹痛、より少ない副作用としては不眠、下痢、嘔吐がある。
注: 治験ではバルサラザイド(Balsalazide)を服用していない、即ち偽薬を服用した患者にも同じ割合で副作用があった。
薬の飲み合わせ
処方箋薬やドラグストアで購入した複数の薬を飲む場合には飲み合わせに注意しなくてはならない。薬の組み合わせによってはある薬の効果を減らしたり、薬の薬効を強めたり、予期しない副作用を引き起こしたりする。 薬は服用する前に注意書きをよく読み、医師にはドラッグストアで買った薬も含めて全ての薬とあなたの状態を報告すべきである。 最も飲み合わせに注意を要するのは、スルファサラジンのみであるとも言える。
その他考慮すべきこと
- スルファサラジンはアレルギー体質の人やスルファ不耐性の人(全体の約3分の1はそうである)は服用すべきでない。スルファサラジンを服用中は他のスルファを含む薬の服用に注意が必要である。
- 全ての患者がそれぞれ異なるだけでなく、治療法も時と共に変わる。主治医とは定期的に話し、あなたにあった全ての医療上の選択肢、外科的処置を知っておくことが大切である。
- 5-ASAの服用をやめた患者は再燃し易い。主治医と相談せずに服用を止めるべきではない。
- 5-ASAは妊娠中、子育て中でも一般に安全である。
- IBDは慢性のものであるので、体調が良いと感じていても服用を続けることが望ましい。
Date Posted: February 24, 2006
原文:Aminosalicylates (CCFA)
訳:くろーん40
(2006年8月7日)